EV化の波が大きくなる中、EVに必須なアッセンブリーの一つであるeアクスルをマレリが売却するというニュースがありました。
今後eアクスルは市場拡大が間違いない有望な分野であり、経営再建中のマレリには主力分野としていきたい事業の筈ですが、なぜそのeアクスル事業を売却してしまうのでしょうか?

eアクスルはモーターなど複数の部品を含むパーツです。
競合が強すぎる
現時点でeアクスルを取り扱っているメーカーは下記になります。
・ボッシュ
・日本電産
・ブルーイーネクサス(アイシンとデンソーの合弁)
さらにトランスミッション大手のジヤトコも参入を表明しており、そうそうたる面子です。
ボッシュやコンチネンタルはサプライヤでありながら自社部品だけで自動車を組み立てられそうなほど多様な部品を扱っており、総合力に長ける上、長年、自動車部品業界でも1位、2位の座を独占するほどの売上高を誇ります。
日本電産は精密小型モーターの開発・製造において世界一のシェアを誇っており、eアクスルの心臓部ともいえるモーターの扱いに極めて長け、ジヤトコはトランスミッション、特にCVTでは最大手の一つで、EVの普及スピードによってはかなりのリソースを開発に割くでしょう。
eアクスル自体は、富士経済の2020年の調査で、2035年に1467万台にまで拡大し、2019年見込みと比較し293.4倍の成長とも予測されるほどの有望分野ですが、これほど強力なライバルと戦うには相応の開発資源を長期間投入せねばならず、見切りをつけた形になります。
2021年通年赤字となってしまったマレリは早々に経営を上向かせる必要があり、長期の開発リソース投入を避けたと言えます。
負債の圧縮
再生計画案が可決されたマレリは1兆円を超える負債のうち、4500億円という途方もない金額を債権者に放棄してもらいました。
さらに親会社であるKKRから800億円の融資を受け、再生に臨みます。
今回マレリが売却するeアクスル事業が数百億円規模に上ると見られ、まだ値が高いうちに売却を図ったものと見られます。
eアクスル事業を手放しても、まだマレリには内装、電子、コンプレッサーなど多様な事業が存在しており、現存す事業に再生をかける形になります。

おわりに
カルロス・ゴーンCEO時代に日産から切り離されるどころか、資本比率を上げ、日産の連結小会社になるほど親会社からも重視されていたマレリ。
同じ日産系列のサプライヤとしてはうらやましく思ったものでした。
まだ多様な事業を有しているとはいえ、マレリには目玉部品がない、また日欧の統廃合が進んでいないと評されます。
ぜひ、今一度かつての栄華を取り戻して欲しいところです。
引用元:
KKR傘下マレリが電動パワートレイン事業売却へ、収益重視-関係者 – Bloomberg
マレリの再生計画案が可決…金融機関、4500億円債権放棄[新聞ウォッチ] | レスポンス
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