せっかくの商品を燃やす!?外部火災試験って何?

自動車業界

今や利用しない日はないぐらい人気になった宅急便。

国内ならどこへでも、宛先を書くだけで届けてくれます。

でも、宛先が国内ではなく海外だと大変です。

輸出、という形態になり、モノによっては非該当証明書が必要になったり、途端に手続きが難しくなります。

その輸出の中でも、送りたいモノが危険品だと舶用品検定や付随試験を行う必要があり、大変です。

今回はその危険品の付随試験の中でも唯一、屋外でしかできない外部火災試験について紹介します。

外部火災試験とは

外部火災試験とは、正規の仕様で梱包した製品を屋外で巨大な火にかけて爆発させ、製品の安全性を評価する試験です。

自社で試験を実施できるなら良いですが、管理人のいた会社では外部へ委託していました。

日本カーリット株式会社

カヤク・ジャパン株式会社

日本国内では、この2社しか外部火災試験を実施できません (2022年9月現在)。

日本カーリットは発煙筒メーカー、カヤク・ジャパンは日本化薬のグループ会社で、両社とも危険物の取り扱いに熟知した業者です。

というのも、1回の試験で使う燃料がエタノール500リットルにもなるのです。

試験も採石場など、大掛かりな発破がかけられる場所に限られます。

大型のトラックや重機も必要になるので、試験費用も1回50万円~100万円と高額になります。

なぜ外部火災試験が必要なの?

日本も加盟している国連。

その国連が危険品の輸送に関する勧告 (国連危険物輸送勧告, TDG, 通称オレンジブック)を出しているため、国内法もその勧告を踏まえて制定されています。

関係としては、国連勧告≒法律になるため、国連勧告に従わないということは船舶安全法、航空法などの法律に違反する可能性があります。

国連勧告の中に、エアバッグとシートベルトは外部火災試験を実施しなさいと記載があるため、この2品の輸出入には外部火災試験に合格しなければならないのです。

試験実施までの流れ

サンプル準備

まずは正規の梱包仕様のサンプルを用意します。

サンプルは総体積が0.15立方メートルを上回る必要があります。

例 段ボール一つが0.4立方メートルの場合

0.4×4 (箱) = 0.16立方メートル

と、4箱必要になります。

業者へ依頼

外部へ依頼する場合、日本カーリットか、カヤク・ジャパンへ依頼し、日程を決めます。

日本カーリットの場合は栃木県、カヤク・ジャパンは山口県で試験が行われます。

当然ですが、試験前日までに業者へ製品サンプルを届けておく必要があります。

送付スケジュールをよく確認しておきましょう。

なお、試験は1日4回まで実施が可能で、1日複数回実施すると1回あたりの値段は下がります。

1回/1日:100万円 (1回100万円)

4回/1日:200万円 (1回50万円)

日本海事検定協会へ申請

試験の合否判断は日本海事検定協会の判定員が行います。

もし、判定員の方が立ち会わない場合、その試験は無効となりますので、試験日時と合わせて調整しましょう。

事前に試験や製品の概要などの申請書、関連書類などを申請しておく形になります。

また、費用として海事検定への判定依頼費、交通費なども必要となります。

業者への試験依頼費とは別物ですので、予算の申請もお忘れなく。

外部火災試験当日

当日は試験依頼者、海事検定協会判定員、試験実施業者の3者がそろう形になります。

試験場所は採石場で、特別な試験装置が用意され、製品が燃やされます。

日本カーリットにしても、カヤク・ジャパンにしても試験の様子をビデオ撮影してくれますので、NGなどの解析には有用となるでしょう。

燃焼時間は30分ほどで、試験終了後は主に下記項目を確認します。

・危険品封入箇所に破損が無いか

・金属部品が四散していないか

・燃焼場所周囲のモノリスにダメージが無いか

判定はその場で行われ、合格であれば1か月程度で認可証を貰えます。

なお、英文認可証が必要な場合は追加費用が2万円程度必要です。

おわりに

外部火災試験については法律的な知識が必要であるため、管理人も現役時代は大分勉強しました。

なかなか苦労しましたが、気が付くと他部署の試験も担当することになり、社内でも第一人者となっていました。

この分野ならだれにも負けない!という分野を持ちたいですね。

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