数あるエンジニアの中でも中々知名度の低いパッケージングエンジニア。
会社によっては荷姿担当や梱包担当者とも呼ばれるパッケージングエンジニアとは何をする仕事なのか?
聞きなれない割にハードな業務内容についてご紹介します。
パッケージングエンジニアとは梱包仕様書を作る人
メーカーとは名前の通り、何かの商品を作る会社です。
BtoBであれ、BtoCであれ、箱に入っていたり、パレットに乗っていたりと製品には梱包仕様があります。
パッケージングエンジニアとはその梱包仕様を作る仕事です。
一つ一つの部番に対し、箱はこれを使って、一つの箱に製品をいくつ、詰め方はこのように、また緩衝材はA紙を2枚こう折って、Bビニールを・・・と果てしない作業です。
そうして出来上がった梱包仕様を今度は他部署と折衝します。
品質部門とは品質上この梱包仕様で問題無いか、設計部門とは客先から梱包仕様についての要求をクリアしているか、また製造部門にはこの梱包がラインで可能かどうか・・・。
管理人は自動車部品メーカーにいた際、パッケージングエンジニアとしても勤務していたことがありますが、この調整を荷姿検討会と称し、社内検討会を開いていました。
この荷姿検討会で、揉めなかった記憶はありません。
特に製造には毎回頭を下げてなんとかこれでやってほしいと頼み込んでいました。
製造部門が面倒だと言えばやり直し、品質部門がダメだと言えばやり直し、の繰り返しです。
毎回折衷案 (妥協の産物)で仕上げていました。
そうして梱包仕様書を作り上げます。
パッケージングエンジニアとは客先と交渉する人
梱包仕様書は作業標準書の一種でもあり、あくまで社内向けのものです。
BtoBのビジネスの場合、納入先のクライアントから納入許可をもらう必要があります。
社内で作り上げた梱包仕様書と実際に詰め込んだ完成の荷姿を持って客先で交渉します。
メーカーにとってダクトタイム (一つの製品を作るのに何秒かかるか)は生命線ですので、クライアントも簡単にはヨシ!と言いません。
特にトヨタやホンダなどカーメーカーはダクトタイムを全社的に厳しく確認している為、強敵です。
毎回、社内の交渉が天国に思えるほど熾烈な折衝が行われていました。
何しろ相手はお客様です。
商品をお買い上げいただくという弱い立場から、承認印をお持ちのお客様にハンコを押して頂くのです。
しかも承認頂かないと納入できないため、量産が開始できません。
喧々囂々でやりあった交渉が決裂に終わると、今度は社内でも怒られます。
そのせいか、管理人が居た会社ではパッケージングエンジニアの離職率が高くありました。
孤高の交渉人です。
折衝スキルは磨かれますが・・・。
パッケージングエンジニアとは輸出認可を取得する人
商品を海外に輸出する場合、それも商品が何らかの危険品に該当する場合、国連勧告標準をクリアする必要があります。
危険品とは火薬やアルコール類などを指し、クラス1からクラス9まで分類されます。
参考:危険物国際輸送における留意点:日本 | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る – ジェトロ (jetro.go.jp)
全ての危険品は舶用品検定という箱に対する試験、また付随試験を受け、合格した上、認定証を受けとらなければなりません。
例えば、シートベルトやエアバッグを海外に段ボール梱包で輸出する場合、段ボールに対し、舶用品検定を受け、さらに付随試験である外部火災試験に合格しなければ輸出が出来ません。
舶用品検定は段ボールの強度を調べる試験ですので、段ボールメーカーにある程度知見があり、この程度の強度で大丈夫、など事前にある程度分かるのですが、外部火災試験は厄介です。
燃やしてみないと、どう爆発するか分からないところがあります。
実際に試験をしないと分からない、でもその試験の値段は1回50万円 (最安値)もします。
かと言って違法に輸出するわけにもいかず、毎回四苦八苦していました。
おわりに
パッケージングエンジニアとは知名度が低いですが、メーカーには必ず必要な仕事です。
大変なことも多いですが、困難な仕事ほど、やりがいも大きいです。
チャンスがあれば、挑戦されてみるのも大きな成長の機会となるでしょう。

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