カメラ好きな方なら、一度は聞いたことがあるであろう光学機器大手タムロン。
キヤノンやニコンなど大手カメラメーカーから出されている超高性能レンズは一つ数十万円することも珍しくなく、カメラ愛好家垂涎の品です。
そんな性能と同じく、お値段も飛びぬけているメーカー純正レンズと同スペックなのに、ゼロが一つ抜け落ちているほど安価なタムロンのレンズはカメラ好きの方に長く愛されてきました。
私はその埼玉にあるタムロン本社にて2年ほど働きました。

実際に働いたレポートです。
タムロンとは
1950年創業の老舗レンズメーカーです。
かつてはゼンザブロニカなど中判カメラも販売していましたが、今は取り扱いがありません。
キヤノンやニコンのようにカメラを作っているメーカーではなく、レンズのみを製造している、いわゆるサードパーティのレンズメーカーです。
特に18-400mmといった高倍率レンズを得意としており、広角からズームまで一本のレンズで済んでしまうため、一眼レフ愛好家からは人気があります。

良い点
温厚な人が多い
右も左も分からない新人には、突然カミナリを落とすような厳しい方は怖くて仕方ありません。
タムロンには温厚で長く勤めている方が多く、先輩に色々聞き易い風土でした。
もちろん、ガンコな職人風の人もいますので、注意が必要です。
製品の価格競争力が高い
タムロンのレンズは純正レンズと比べると半額以下の値段で購入できます。
大砲のようなキヤノンの白レンズに憧れるけど、高すぎる・・・という方にもお求めやすく、解像度も高いため、製品の価格競争力は非常に高いです。
気になる方は一度、ご自身のカメラを店頭に持っていき、試し撮りしてみてはどうでしょうか。
本社は埼玉県で通いやすい
大手上場企業で本社は東京、というのは典型例ですが、タムロンの本社は埼玉県見沼区にあります。
見沼区は大宮の隣で、電車でもすぐのところです。
家賃の高い東京に住む必要もなく、自転車や電車通勤の方もたくさんいました。
悪い点
業界の見通しが暗い
カメラ業界はもうしばらくの間、縮小傾向にあります。
理由はもちろん、スマホです。
軽くて高性能で誰でも扱いやすいスマホカメラに押され、コンパクトデジタルカメラ、一眼レフカメラ業界はもう伸びしろがありません。
タムロンも2017年~2021年の売上高は600億円前後を推移しており、これは私が在籍していた10年前と同等です。
縮小していく業界で売上高を保つというのはすごいことですが、10年前の5か年計画で売上高1,000億円を掲げていた企業としては寂しい結果です。
2006年には株式を公開し、成長著しい競争力の強い企業として定評があっただけに残念です。
仕事はハード
在籍当時、私は試作品の評価をしていましたが、評価部門はどうしても開発部門より下に見られるうえ、光学機器の評価はなかなか難しいです。
私も使えるようになるまで、1年以上かかった測定器もありました。
悪い点か良い点かは難しいところですが、仕事は山ほどあります。
身を粉にして働きたい、技術に磨きをかけたい、という方には良いでしょう。
レンズのコントラストが弱い
レンズを評価する際、解像度とコントラストの二つの指標を用います。
キヤノンやニコンなど、カメラメーカーのレンズはコントラストが強く、いわゆるヌケの良い、カタい
リバーサルフィルムのような美しい写真が撮りやすいのに対し、タムロンのレンズは解像度は高いですが、コントラストが弱く、高額な純正レンズと比較すると、見劣りすることがあります。
もちろん、その分はお値段に反映されていますので、どちらを取るかはお好みです。
おわりに
結論としては条件付きオススメ、が答えです。
仕事は大変ですが、すぐ隣は大宮で遊びにも行きやすいですし、車を持たなくても生活できます。
ただ、今後どうなっていくのか、見通しを立てることができません。
頑張ってほしいというのが元従業員としての本音です。

辞めた従業員がガンバレ!と言えるということは、きっと良い会社なのでしょう。
それでは、ここまでお付き合い頂き、有難うございました。

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